京都で働くエンジニア社長の自戒ブログ

気づいた当たり前を、さも大事なことかのように発信します。

0→1、1→10、10→100の話

しばらくSaaSビジネスを展開してきて、
事業フェーズに関して0→1, 1→10, 10→100という分け方を目にします。

この分け方は、現時点での自分にとって、それぞれのフェーズで行われるゲームのルールによる分け方だと認識しているのですが、 現時点での自分の経験上、それぞれのルールはどんなものなのか軽くまとめておきたいと思います。

0→1のルール

このフェーズでは、ユニットエコノミクスを成立させるというゲームをしています。
価値を提供し対価を得られる、最小単位のユニットでの検証を素早く行います。

この時点で明らかになっていないことは、順に、

  • プロダクトが解決しようとしている課題が存在しているかどうか?
  • 課題に対して、提供したソリューションはマッチしているか?
  • プロダクトに対してお客様はお金を払ってくれるか?

です。
とにかく、この時点では収益性もクソもないですが、 このフェーズを超えないことには、そもそもビジネスが成立しません。
この時点では、死ぬほど失敗して心が折れまくり、 採用によって誰かにリーダーシップを握って欲しくなりますが、絶対に採用に手を出してはいけません。
偽りのなんか進んでる感に囚われると同時に、ランニングコストが上がり、最も重要な試行回数を減らしてしまうことになります。

このフェーズの主役は、Tech人材とプロダクトです。

1→10のルール

このフェーズでは、0→1が一通り落ち着き、 お客様がお金を払ってくれるプロダクトが存在している状態になります。 この時点で行うのは、コストに対する収益性を向上させるゲームです。

この時点で会社内のチームは、 新規売上を積み上げる「マーケティング部門」と、 既存売り上げを維持する「カスタマーサクセス部門」に分かれ、 それぞれ、目的ごとのナレッジを積み上げることで、人材一人当たりのパフォーマンスを向上していきます。

このゲームの開始時点では、すでに収益構造が出来上がっているはずで、 それはコストを投下した分だけ利益を産む環状構造で図式化できるはずです。

この環状構造の図式の中で、ボトルネックを探し、リソースを投下して、 うまく血流を流していく方法を見つけることでゲームに勝っていくことができます。

マーケティングチャネルとカスタマーサクセスの定義は、 プロダクトごとに違うので、泥臭く勝ちパターンを見出していく必要があります。

このフェーズでは、ボトルネックに対して、適切に人的リソースを採用しつつ、 一人当たりの生産性を高めていく必要があります。

このフェーズの主役は、Biz人材になってくるかと思います。

10→100のルール

このフェーズでは、費用対効果のよい、マーケティング上の勝ちパターンを手に入れつつ、 お客様に価値を届けることができていて、チャーンを防げている状態になります。

この時点で行うのは、徐々にマーケティングのROIが合わなくなってくるので、 既存リソースをモートとして、新規に事業を立ち上げ、競争優位性を強固にしていくゲームです。

実際、自分はまだこのフェーズまで辿り着いていないので解像度が低いのですが、 すでに成立しているビジネスモデルに対して、人材を大量に採用しつつ、 既存のアセットから新たな金脈を見つけていくことが勝ち筋になります。

僕は、このフェーズで最もレバレッジが効くのがCreative人材だと思っています。

BTCの人材の定義

文中で触れた人材特性の定義についてです。 Biz、Tech、Creativeに関して以下のような特性がある・または持つべきと考えています。

Biz

収益向上サイクルをぶん回す能力者。
エンジンは金。金から金を生み出す。

Tech

課題のソリューションを資産化する能力者。
エンジンは課題。課題からプロダクトを生み出す。

Creative

お金以外の資産から新しい価値を生み出す能力者。
エンジンは既存の資産。既存の資産から新しい価値を生み出す。

結局何が言いたいのか?

ここ最近、どんな人材を雇うべきなのかに関して、ずっと考えていました。 特に、0→1のフェーズに比べて、1→10では何が変わったかを考えていたのですが、 それは「金を生み出すために、金を使えるようになったこと」だよなと思うに至りました。

自分はゴリゴリにTech系の人材だったので、経営者として変容しなければならないと思うと同時に、 金を使って金を生み出すことに秀でた人を採用する必要があるよなと思ったという話でした。