テクノロジーについて
LLMを社会実装していく流れが凄まじい。 毎日、雨後の筍のように、大小様々なサービスが生まれている。 きっとインターネットの黎明期も同じだったんだろう。 スマートフォン黎明期のおもちゃのようなアプリも同じだった。
事業を立ち上げるタイミングとして、テクノロジーの変換点がよく挙げられる。 まさに今なのだろうと感じている。
このトレンドに対して、私自身動き出すのがかなり遅れてしまった。 それは、起業してからこれまでの間に、インターネットの登場や、スマートフォンの登場といった大きな変換点に立ち会ったことがなかったからだ。
私がビジネスに関わり始めたのは、大学入学してからしばらくたった2016年くらいからで、すでに顕在化されたニーズに対してほとんどのソリューションが提供されていた。 そのため、スタートアップの鉄則としては、「顕在化されていない生活者の欲望」=「インサイト」を発見することが重要だとされていた。
ChatGPTに驚愕しながらもすぐに動き出せなかった私は、この鉄則をアンラーニングすることができていなかったからだ。
まず、テクノロジーが高度に発達したタイミングでは、参入障壁が極端に低い。 今までかかっていたコストとは比べ物にならないほどの低コストでソリューションの提供が可能になるため、既存のサービスをディスラプトすることが容易になる。 つまり、すでに顕在化されているニーズに対して、完全に新しいマーケットが生まれるのだ。まさにボーナスタイムである。
もっというと現時点でのLLMは、必ずしも大規模なデータを持っているステークホルダーにとって有利ではない。 なぜなら、GPTに対して、自社保有データを使ってファインチューニングするには相応のコストがかかるし、 エンベッディングしようにも、大量のデータをオンメモリで扱うことはできないし、文書をベクトル化してコサイン類似度を計算しようとしても、大規模なデータベースを構築することはできない。
このような状況下で、私は、「モートを作ることができないから」という理由で足踏みをしていた。 「サービスを作るのが簡単すぎる。この難易度でサービスを作っても勝てない。」これが、アンラーニングすべき考え方だ。
私は、2018年に起業しており、なんとか現在多くはないながらも利益を出すことができている。 つまり、「デフォルトで生きている企業」を率いることができている。 既存事業がキャッシュカウとなっている。 こんな後ろ盾があるのだから、失敗する可能性なんていくらでも許容できるはず。
逆に言えば、キャッシュカウを持っているのに、打席に立たないのはおかしいだろということだ。
学んだこと
今回の件で学んだことが2つある、
1つ目は、「テクノロジーによって価値は変わらない、手段が変わる」
2つ目は、起業には「手段を変えること」と「新しい価値を生み出すこと」の二つの方法がある
以上の2点だ。
テクノロジーが勃興してきたタイミングでは、主に手段が変わり、既存の価値提供の手段が変わったり、精度が上がる。 一方、テクノロジーが比較的落ち着いているタイミングでは、新しい価値を発見する必要がある。
どう考えても前者の方がわかりやすい。 しかしわかりやすければ、とうぜん競合も多くなる。ここが頭の捻りどころなのである。
会社をやっていて思ったのは、信用とは何にも変え難い資産なのだということである。 王道の戦略を貫くには、「信用」が何よりも重要で、その次に「カネ」である。
何が言いたいかというと、やっとLLMの波に真っ向から乗っていく覚悟ができたということ。 私は、信用を駆動して、王道を行ってみる。 その際重要なのは、手段ではなく、価値を見極めることである。
価値は、本質的な目的に近いところから始まる。 企業の短期的な目的は、売上を上げることである。