京都で働くエンジニア社長の自戒ブログ

気づいた当たり前を、さも大事なことかのように発信します。

深刻な課題はどういう形をしているのか?

起業家の誰もが聞くであろう言葉「課題にフォーカスせよ」

なんとなくわかったつもりになっていましたが、2022/10/11より始まる、全国旅行支援によってこの言葉の解像度がグッと上がりました。

課題はどんな形をしているか?

僕は曲がりなりにも東京大学を卒業しており、周りには優秀な人で溢れていました。そういった人の中で議論される内容は常に抽象度が高くなりがちです。

どのようなモデルで考えるべきか?

どのように状況を分析すべきか?

どのように仕組みを設計すべきか?

これらの議題はとても抽象的で、議論の中ではすっきりとするような結論に辿り着きやすいですが、実はどれもドメインに依存していて、現実には機能しないような机上の仮説でしかないことが多いです。

僕も御多分に洩れず、課題を探す時、形而上学的なアプローチを取り続けていました。そのため、出てくるソリューションのどれもが、そもそも存在するのか曖昧な課題に対するものになってしまいがちでした。

ビジネスを続ける中で少しづつ、立てた問いが、現実に即しているかどうかを判断する能力は磨かれてきた気はしています。それでも、「良い課題」の輪郭はまだ曖昧なままでした。

立場と情報の非対称から生まれた課題

小さな頃は大人はとても頭が良くて、あらゆることを真に合理的に判断でき、世界はゲーム理論の均衡状態のようになっていると思っていました。しかし、大人になるにつれて、国や会社といったあらゆる組織の不完全性が理解できるようになってきました。

最初に挙げた、全国旅行支援ではまさにこの不完全性が明確な「良い課題」となって立ち現れました。

全国旅行支援では、事業者も消費者も全てが同じタイミングで表層的な情報を与えられました。それぞれの人数から考えれば当然ですが、この情報は消費者サイドにフォーカスを置いたもので、概要は把握しやすいですが、それを事業者サイドから見た時、まさにカオスです。

全ての人が同じ知識しか持っていないのに、片や消費者、片や事業者に分かれているのです。半端なくないですか?突然学校で、新しい課題を渡されて、教える側と教わる側に分けられて、「この課題は3ヶ月後には無意味になります。」って言われている状態です。

3ヶ月という期間では、システム提供の事業者も大きく投資を行うことはできないですし、現場サイドは決まってしまったので否応なく対応せざるを得ません。

うわ、この状況、めっちゃ課題じゃん。

雑なまとめ

本当に良い課題は、誰かの頭の中にあるものではなく、現実にあるんだなと。

本当に良い課題は、当事者がどうしようもなく困ってしまって、どんなにクソみたいなソリューションでも縋ってしまうようなものなんだなと。

本当に良い課題は、それが簡単には解けない理由が同時に存在しているんだなと。

今回の全国旅行支援の課題は期間が短く、ROIの効率がいいとは思えないので、ビジネスとしては一つのマーケティング施策として捉えざるを得ないですが、それでも僕は、これまで輪郭を捉えきれなかった、質の良い課題の輪郭について、手でさわるように、はっきりと感じ取ることができた点で人生の一つの転機になるのかしらと思ったりしています。

かなりのイレギュラーなので、革命でも起きない限り今回のように、時間さえかければ解ける簡単な課題が現れるとは考えにくいですが。

さて、休憩はこのくらいにして、デスマーチに戻ります。