京都で働くエンジニア社長の自戒ブログ

気づいた当たり前を、さも大事なことかのように発信します。

自己同一性は他者の中だけにある

経営者として景気について予想を立てるにあたって、色々と先週末からインプットをしているうちに、 全く専門外の立場から、国際政治に関してのいろいろな人の解釈を読んでいて思ったことを言語化しておきます。

面白いなあと思ったのは、国という単位であったとしても、 その指導者に当たる人物のこれまでの経歴や、付き合い、人柄といった要素が、国交上非常に大きなファクターになるのだということでした。

自分自身、株式会社の内部管理は、必ずしも民主主義的に行われる必要はなく、 ある種帝国主義的な統治方法をとるがゆえに、不要なノイズを排除して価値創造にコミットできるのだと思っています。 そういう意味で「法人」という表現は非常にしっくりときており、一つの人格として会社を扱うことはすごく自然なものだと感じていました。

一方で、近代国家は基本的に民主主義的に運営されているので、 その代表といえど、個人が与える影響は微々たるもので、そこまでダイナミックな影響は与えないものだと考えていました。

しかしながら、今回のロシアのウクライナ侵攻に関する資料を見ると、 プーチンの個人的な生い立ちや、習近平との関係、ロシアの軍部との軋轢など、非常に個人の人格が影響を与えているように見えました。

東京大学に在学している時、いまから3年くらい前ですが、 自分の身の回りで、現代社会に強い課題感を感じている友人は、その多くが起業家を志していました。 一昔前なら政治家を志していた人も多かったのでしょうが、この状況は、GAFAに代表されるようなIT系のスタートアップが国家にも匹敵するような力を持つようになったことに端を発しているでしょう。

政治的なアプローチよりも、ビジネス的なアプローチの方が世界を変えうると思うのは、 誰もがスマートフォンを持ち、その上でコミュニケーションを取るようになった現代だからこそ非常に納得がいくものであり、 逆にいえば、社会に対する、政治的アプローチは、そこまでクリティカルなものではないように写っていました。

ウクライナ戦争でも、イーロンマスクによる、スターリンクの提供はこの上なくカッコよく映りました。

ちなみに自分が起業した理由は、朝起きる時間を誰かに決められるのは無理という、非常に怠惰なものだったので、そこまでたいそれたことは考えていません。

さて、今日のブログの主題ですが、「自己同一性は他者の中にしかない」という気づきについてです。 私は、人生のあらゆるストレスは、過去に行った意思決定によって、将来の選択肢が狭くなることによって生じていると考えています。

「あのときこう言ったしなあ」「あの人とああいう約束したしなあ」 今は28歳ですが、自分を縛り付ける人との約束は、年齢を重ねるたびに増えてきたと実感しています。

習近平が、プーチンと出した共同声明に関して、後悔しているはずだという言説を読んで、自分は浅はかながら、 そんな国交上の負債を抱えていると感じるなら、3期目続投せずに後任に任せたらいいのにと思ってしまったのですが、 簡単に言葉を撤回してしまったら、国交上の信用を失ってしまうのです。

ここから人間の信用や権力というものは、一貫性の中で生まれるものなのだなあというインサイトを得たのですが、 でも、我が身を振り返って考えてみると、自分の中に思想上の一貫性なんてそんなにないことに気づきました。 プーチン習近平も、政敵を作りまくってしまったから、退任後の自分が危ういので、自分のかつて掲げた理想を実現できるまで、なんとか任期を伸ばそうとしている側面はあるはずです。

社会は、他者の作り上げた一貫性に指導者が従うことで動いているのです。

「私は今、こうすべきだと思うが、こういう理由でそうすることができない」というとき、 自分の外にいる一貫性を持った自分が邪魔をしているのです。

そうか、そういうエゴによって身動きが取れなくなるということが、 つまらない大人になっていくということなのだなと実感しました。

軽い気持ちでした一つ一つの約束が、人生をつまらなくしていく。

そして唐突に、だからメタバースが欲されているのかと思いました。 自分だけど、自分ではない存在として、別の世界でアイデンティティを確立する。 そこに歴史はないので、軋轢はない。過去の全てを今の自分のコントロール下に置くことができる。 確かに夢のような世界ですね。

自分は、初期投資がかかりすぎるため、起業家としてメタバースのマーケットに現時点で踏み込む気はないのですが、 「人生をリセットしたい」という普遍的なバーニングニーズを、国際政治のなかでの指導者の役割という点から感じました。

自分自身はもっとライトに、このインサイトは転職市場などに活かしていこうと思っています。

GitLabのリモートワークの話を読んで思ったこと

先週GitLabのCEOのリモートワークに関するインタビューが話題になっていました。

hbr.org

原文は上記になっています。 これを読んで思ったことと、現代のマネジメントツールで足りないことを考えていきます。

自分の会社でリモートワークを阻むものは何か?

まず、現時点で弊社はリモートワークを部分的にしか取り入れられてはいません。 その理由は、自分自身のマネジメント能力の不足が原因であると常々チームメンバーには話してきました。

この記事を読んで、現段階での自分が、リモートワークに踏み切れないでいることは、ツールの不足として捉えられるのではないかと感じました。 そこで、自分のマネジメント能力の不足とは具体的にはどのような要素に分解できるか考えていこうと思います。

1. インシデント発生時のリソースコントロール

対面のマネジメントでも良くないことではありますが、小さな組織では、マイクロマネジメントが日常的に行われます。 組織サイズが小さいということは、ビジネスモデルが確立していないということです。 一方で小回りが効くので、不確実性の高い現代において、ビジネスモデルがフィットするまで日常的にピボットを繰り返せることが一つの強みになります。

現時点での弊社のプロダクトマネジメントはこの先1ヶ月程度でこなすべきプロジェクトが積み上がっている状態で、それ以降のプロジェクトに関しては未定義になっています。

これは、現段階でのプロダクトをスモールビジネスとして捉えており、キャッシュエンジンとして運用していこうと考えているため、 そもそもプロダクトがフォーカスしている課題が比較的浅く、ゲームチェンジングなサービスとしては設計していないため、プロダクト完成度がすでにそこそこ高い状態になっているためです。

上記のような状態なので、抱えているエンジニアリソースも少数で済んでおり、長期的なロードマップがなくともあまり問題はないように感じています。

一方で、機能の完成度は高いですが、まだプロダクトが若く、インシデントが頻繁に起こるため、柔軟なリソースコントロールが必要になっています。 日常的な開発では、個々人のスキルレベルがどの程度のものなのか?という観点よりも、 どの程度のアウトプットをしていてどの程度評価されたいと思っているか?という観点の方が芯をくっていると思うので問題ないのですが、 インシデント発生時には、正確な理解度とスキルレベルを知りたいものです。この相互理解をリモートコミュニケーションでとる方法がいまいちわかっていません。

2. ビジネスモデルの未確立とそれに起因する評価制度のミスマッチ

僕の感覚ですが、リモートワークになると、中長期的タスクに対してのフォーカスは行えるでしょうが、小回りが効かなくなると感じています。 そもそも、大規模な企業では対面でも小回りは効きません。しかし、ビジネスモデルが確立しているため、主要KPIを計測することでマネジメントが可能です。 また、体力があるため長期的な視座でマネジメントが可能になり、人員の層も厚く、抽象度が高い状態の戦略を投げることができるでしょう。 また、提供サービスも、おそらくSREに投資できるレベルになっているのでインシデントの発生頻度は少ないでしょう。

小さなチームでは、マネジメントの層が薄いため、あまり抽象的な方針を立てても、それが実行に移されないことが多いことを体感してきました。 すると、戦略策定に時間を割くよりも先に、今すぐこなさなくてはいけないタスクが目の前に降ってきてしまい、長期的なロードマップの更新は困難になっていきます。 リソースも限られているため、そもそも、回収までが長くかかるような投資を行うことは困難で、合理的に考えて場当たり的なマネジメントになってしまいます。

社歴の浅いチームでは、セールスや、マーケといった業務の定量指標も、前例がないために妥当なのかどうかが不明瞭になります。 するとどうしても、数値データより、身を持って体感するエンゲージメントの方が人を評価する時に妥当性が高いように写ってしまうのです。

まとめ

結論、今の世界に足りないと思っているのは以下の二つです。

  • リモート環境下で経営の意思決定をスムーズに執行までつなげることのできるツール
  • リモート環境下にマッチした報酬体系および評価制度

ソリューションは未知です。

なぜ日本はプラザ合意に応じなければならなかったのか?

プラザ合意とは1985年の9月22日にドル高の是正のために先進国5カ国(日・米・英・独・仏=G5)が、外国為替市場で協調介入を行うというものでした。 それまで円安によって輸出が好調であった日本では、急速に円高が進み、国内景気は低迷することになりました。その後、1987年2月に開催されたG7(G5+加、伊)は、過度なドル安の進行を防止するべく、パリでルーブル合意を成立させました。 ルーブル合意以降、為替相場は総じて安定することとなったものの、円高不況に対する懸念から、日本銀行は低金利政策を継続し、そして企業が円高メリットを享受し始めたこともあり、国内景気は回復に転じました。しかしその後、低金利局面と金融機関による過度の貸出が過剰流動性を招き、不動産・株式などの資産価格が高騰し、いわゆるバブル景気が起こることとなります。

ここで金利と景気に関して簡単に触れておきます。 景気が良くなってくると、人々の収入は増加し、消費や投資が増えます。 企業としてもサービスの需要が高まるので、コストをかけて設備投資や生産を行います。 するとお金に対する需要は高まっていくため、金利は上がっていきます。

しかしある程度まで金利が上がっていくと、人々はお金を貯蓄に回すようになります。 すると、市場に出回るお金は少なくなり、景気は後退していきます。 結果としてお金に対する需要が下がっていくため、金利は下がっていきます。

ここ数年、日本も世界も低金利状態をずっと維持してきました。 世界的に広がっているインフレの中、米は金利を上げる意思決定をしました。 結果として低金利の円から、高金利のドルに資金は流れ歴史的なドル高となりました。

私は観光業にSaaSを提供しており、内需もインバウンドも高まっていくことが予想されるので、 今回の円安の恩恵を受けられるような立場にいるのですが、AWSの利用料金に関しては、1.5倍程度になってしまったので少し不安にも感じております。

さて、本日の本題、「なぜ日本は、プラザ合意に応じなくてはならなかったのか?」について書いていきます。 1985年当時、日本の輸出は絶好調で、世界でほとんど一人勝ちという状況でした。 アメリカは、日本の黒字の原因を行き過ぎた円安であると分析し、G5を通して、為替相場への介入を要求しました。 当時の為替相場が1ドル = 230円だったので、今と比較にならないほどの円安で、よくそんなに安いままでいられたなと感じます。

プラザ合意による効果はテキメンで、一気に円高が進みました。 その後の円高不況の中で、日銀はどこまでも金融緩和をすすめ、すこし遅れて円高メリット(原油や原料が安く手に入る状態)がやってきました。 全てが同じタイミングで起きたので、景気はわずか2年間で膨れに膨れ、弾けて、それから失われた20年と言われる不景気がやってきました。 2008年には1ドル=75円まで円高が進み、金利をどれだけ下げても景気が回復しない時代が続きます。

結果として見てみれば、今の日本の不況の全てがプラザ合意から始まっております。 純粋な疑問として、米国の不景気のタイミングではG5が協調介入を行ったのに、 極端な円高による日本の不況時にはG5に介入を求めることができなかったのでしょうか?

全てはプラザ合意の時に、日本が一人勝ちをしており、世界から顰蹙を買っていたことが挙げられます。 日本は、一人勝ちしている立場ながら、G5では発言力がなく、全くの無条件でプラザ合意に応じてしまったのです。

そして失われた20年では、逆に一人負け状態でした。 G5を結集したとしても、救済する合理性がなく、結果としてこんなにも長い期間耐え忍ぶしかなかったのです。

これからどう活かすか?

正直自分の視座は、まだ世界に向くほど高くはなく、 金利のマクロトレンドから需要予測を行う程度のことしかできません。

今は混乱して力が低下していますが、中国の経済力が伸びていく中、米中の対立が本格化しております。 そんな状況で、やや不謹慎ですが、日本という国にももう一度立ち上がるチャンスが来ていると感じております。 日本は米中どちらとも現時点で、健全な国交をおこなえております。

GDP世界3位の経済大国として、プラザ合意の前の日本を再び取り戻していきたい。 その一端を担えるように微力ながらこれからも努力していきます。

VCが労働市場を不均衡にしている可能性

VCって世界の成長速度を早める代わりに、 資本主義の労働市場の不均衡を助長している可能性があるんじゃないかという気がしてきたと言う話です。

日本は、GDP全体ではデフレギャップが残っていて供給過剰なのに、労働市場ではとくにサービス業で需要過剰です。 これは労働市場流動性が不自然に低いということを意味しています。 原因のひとつはコロナ禍で雇用を維持できるようにした雇用調整助成金にあって、労働市場の市場性を排してしまったので、労働力の適切な分配がなされませんでした。 特に今の日本で不足している人材は、ハイスキル人材と、ロースキル人材。 逆に言えば、日本はミドルスキル人材で溢れています。この構造が結果として、不自然な経済を形作っています。

一つのソリューションは、サービス業の賃上げによって、人材の配置を適正化することだと思うのだけど、以下の要因で難しいです。 それは、物価上昇によって企業物価が極端に上昇しているのに、国民性的に値上げは悪だとされていて消費者物価が上がらないことです。必然的に賃金も上がりません。

同時起こっている事象としては、雇用助成金で働かなくても良い状況が続いていたせいで、労働者の労働の対価としての賃金の期待値が上がっています。 生産性が変わらないのに、労働に対して感じる苦痛の度合いが高まっており、賃金コストが上がってしまっているのです。 これは、アメリカを中心とした世界的なトレンドで、明らかにインフレの一端を担っていると思うのだけど、先に挙げた日本の国民性によって、難しい問題になってしまっています。

以上を考えたとき、そもそもミドルスキル人材が多くなっているのは日本だけのトレンドなのだろうか?と疑問が浮かびました。 もちろん日本に比べて海外であれば、企業物価と消費物価は比較的連動するため、それが賃金に影響を与えるのでしょう。

この点、日本は異常で、この物価高でも価格を維持するリリースを出したサイゼリアが賞賛されていました。 戦後以来、同じ提供価値のものを安くて高品質にするという戦略で復興を果たしたため必然とも言えます。

さて、今回の主題であるVCに関してですが、あらかじめ断っておくと、自分はブートストラップで企業経営しているため、エクイティでの外部資金調達を行っていません。 これ自体は考え方の問題だと思うのですが、個人的にはこの選択は結構良かったなと思っています。 と言うのも、自己資金しか使えないので、売上の身の丈に合った企業運営を行うことになるということに価値を感じているためです。 バーンレートを低く保ちながら、事業価値を積み上げていくと言うごく当たり前のことを、当たり前に行うことができます。

一方、エクイティで調達するスタートアップの場合は、いわば、現在の身の丈には合わないお金を、将来の成長性を担保に外部から調達していく手法を取ります。 僕がこの方法を取らなかった理由は、起業当初、社会経験が浅く、自分の事業性への確信が低かったからなのですが、上記のようなスタートアップは雇用という観点からは空洞を生み出しているといえるのではないかと感じてしまうのです。

つまり、現時点での価値よりも、大きなバーンレートで雇用を維持するということは、 労働力の総和をゼロサムゲームであると考えれば、生産性と相関しない雇用が生まれているということになります。

この場合、今、実際に価値提供をしている事業が労働力を得られないことになりうるのではないかと思ってしまいました。

一方、スタートアップというマーケットに、本当にそこまでのインパクトがあるのかは疑問ですが、少なくともGAFAというトレンドや、マークアンドリーセンのいった、Software eating the worldというコンセプトは世界規模のはずです。ITの産んだビジネスの価値観は、資本主義の権化のようでありながら、実は資本主義的でない、つまり価値にかならずしも相関しない因果で雇用を産んでしまっている可能性があるのではないかと思いました。

2023年の予想

激動の時代であると、常に先人が言い続けてきたことに、確かな体感を持って納得がいくようになりました。 変化が大きいということは、その分できるだけバイアスを廃して現実を見つめた先には、確かなチャンスがゴロゴロと転がっております。

本日は世界経済の動きと、日本のインバウンドマーケットに関する予想を書き留めておきたいと思っております。 (ちなみにまだリサーチ途中なので理解が浅いです。)

世界経済を動かすのは消費である

現在の世界的なスタグフレーションを牽引しているのは、米国のインフレと、中国の不動産価格の下落および0コロナ政策です。 もちろんウクライナ危機も一つのきっかけになりましたが、現在の世界経済への影響力で言うと、圧倒的に米国と中国が大きいです。

米中間の対立

2008年くらいから、世界のグローバリズムは弱まってきています。 と言うのも経済成長率に比べ、貿易の成長率が恐ろしく低くなっているのです。

SNSの普及によって、個人のアイデンティティが強化され、 地政学的な解釈の違いから、輸入ではなく輸出に対しても国家で制限が加わるようになってきたのでは?と思っています。

米中は言わずもがな、世界でいちばんの消費大国です。彼らの経済活動が世界に及ぼす影響力は凄まじく、現在の不況で世界のGDPは5%下がると言われております。

米国のインフレに関して

米国はインフレが進んでいますが、同時に、コロナ禍で大規模なリストラが行われ、経済復興に伴い、人手不足で賃金も上昇しています。 また、米国はサービス業が支配的で、労働需給が緩んでいないため、米国の経済は底堅いものだと考えられています。 一方で、金利は上昇しているため、不動産周りの減速感は進んでおり、現在のインフレの流れは程度の差こそあれ、2023年の下半期くらいまでは続くものと予想しています。

中国に関して

中国のマーケットは日本にとって、非常にインパクトが大きいです。 例えば、2019年の法人観光客の1/3は中国人観光客でした。

習近平国家主席は0コロナ政策を進めており、いまだに渡航自粛をしいています。 また、中国の不動産価格の下落はどこまで行くのかわかりません。

中国マネーにはしばらく期待できないと考えた方がいいでしょう。

欧州について

欧州の物価上昇率は10%を超えています。日本が現在2〜3%なのでその壮絶さはなんとなく予想がつくと思います。 エネルギー価格に関しては下がってきているのでピークアウトはしましたが、脱炭素的なテクノロジーは未発達のため、未だ苦しい状態は続いていきます。

日本に関して

日本の消費指数は、コロナ前を100とすると、現時点で95程度までしか戻ってきておりません。 アジアは、世界に対してコロナ後の経済回復が遅く、現時点で95なので、あと5戻る余地があります。 つまり、経済復興によるペンとアップ需要が高まることは必須ですが、円安のため、国内サービス業への需要が高まることが予想されます。

また半導体の供給も戻ってきており、製造業を主力とする日本にとっては悪い状況ではありません。

IMFが出している予想だと、ここから2年の経済成長率でいうと日本は実はベストパフォーマンスを出すと予想されています。 しかしながら、日本のマーケットは米中や欧州に大きく影響を受けるため、煽りを受けてしまう可能性は多分にあります。

どんなチャンスがあるか?

値上げ

日本はインフレに対して、サービスの値上げをすることを悪だと思っている風潮があります。 この風潮のせいで物価上昇しても給与があがらず、スタグフレーションを引き起こします。

ペントアップ需要による業界再編

ペントアップ需要により、シュリンクしたマーケットが一気に回復するので、プレイヤー再編の可能性が考えられます。 新規サービスをぶっこむ最高のタイミングです。

とりあえず自分が今いる観光業は、インバウンドの戻りは遅く、しばらくは内需が伸びると踏んでいます。 まだまだ理解が浅く意味わからん文章になっているので、もう少し勉強して解像度を上げ、続編を出します。

とりあえずここまで。

休職が転職時にマイナスに働くというエージェントはクソ

今年の初めくらいに経済産業省から出されて話題になった、人材版伊藤レポートをご存知でしょうか? 下にリンクを貼っておきます。

www.meti.go.jp www.meti.go.jp

VUCAの時代に日系企業が再起をはかるためには、人的資本経営にシフトしていく必要があるよねという報告書です。 その中にこんな統計データがあります。 日本企業は社内のエンゲージメントが異常に低いことが特徴として挙げられています。

自分は、この理由を、日本企業の多くが、出すべきアウトプットに対して必ずしも合理的でない仕組みを踏襲し続けているために起きていると考えています。 というのも、JTCで働く友達に話を聞くと、どう考えても本質的に事業価値を上げないフェイクワークが会社のリソースを食い潰しているそうです。 さらには、それを認めざるを得ないカルチャーが蔓延しており、合理的な判断が認められない場所でエンゲージメントなど高まるはずがないと思うからです。

製造業を起点にして、戦後の復興を果たした日本では、労働力をイノベーションの源泉ではなく、システムの歯車として見る風潮が根付いています。 日経企業に見られる特徴である、新卒一括採用および終身雇用制度はこれを具体化したシステムです。

世の中のニーズが画一的で、ダイナミックでないのであれば、 同じアウトプットを高精度で低価格で出すというアプローチが合理的になるので、 このようなシステムがインターネットのない時代に、日本が高度経済成長をとげられた理由であることは理解できますし、すごく評価できることです。 世界的にも非常に評価されていましたし、少し前の海外の経営書を読むと必ずと言っていいほど日本的経営について触れられています。

しかしインターネットの登場によって、情報の流動性が格段に上がり、 価値観の多様化が進み、世の中から画一的なニーズというものを無くしてしまいました。

世の中の変化のスピードが速くなると、同一のアウトプットを出すことに最適化された日本企業の力はどんどん弱まっていきます。

高度経済成長期に、日本的経営として世界中で研究されていた本を読むと、日本企業は「家族のような団結力のある組織」と表現されているものをよく見ます。 これが意味するところは、家父長制度のようにトップダウンでの意思決定をスムーズに行うことに最適化された組織ということです。 上が決めたことは、合理的でなくても従う。そのような雰囲気がエンゲージメントを下げていると指摘したいのです。

人材版伊藤レポートが言っている人的資本経営とは、実際に価値を生み出している現場に主眼をおき、現場起点でイノベーションを起こしていこうという方針のことです。 顧客と実際に接する現場をイノベーションの源泉として、積極的に自己変革しながら、時代にフィットさせていこうといっています。 これは抽象化してしまえば、トップダウンからボトムアップへの転換ということです。

では、この人的資本経営において最も重要視される人材はどのような人でしょうか?

私は「非合理的な慣習に耐えることができない人材」だと考えています。 言い換えれば「上司の評価よりも、価値を生み出すことにフォーカスできる人材」です。

これって、JTCのカルチャーにハマれなかった「休職者」というセグメントに当てはまるのでは?と思っています。

自分の東大時代のとても優秀な先輩で、ファーストキャリアの選択を後悔している人がいます。 これまで最大効率で進んできた人生で突然、意味不明な非効率を是とするカルチャーに投げ込まれたためだと思っています。

そして、その方が転職をしようとしたとき、エージェントの方から休職は再転職で不利になると言われたそうです。 エージェントの営業力低すぎだろと憤りを感じまくっています。そして、勢いそのままに文章を書いています。

憤っているので全文を通して多分クソロジックですが、 これを見てくれた転職を検討している旧友達へ伝えておきます。

あなたを売り込めないエージェントはクソです。能力不足です。 エージェントがなんと言おうとあなたには価値があります。 自信を持って、そのエージェントと縁を切ってください。

そしてできたら私の仕事を助けてください。 やりたいことがたくさんあるんです。

環境が合えば、仕事は、時を忘れるくらい楽しいものになりますよ。(うちは残業をよしとしていません。)

ビジネス書にはITでとくべき課題は書いていないという話

本屋は課題の宝庫です。 誰かが人生の中で得た教訓が無数に販売されています。

少し前、「一冊のビジネス書をSaaS化する」というアイデアで、本屋に通っていた時期があります。 今思えば、このアプローチは筋が悪かったなと感じています。

というのも、ITでとくべき課題は一冊の本にはならないくらい、当たり前で薄っぺらいものだと感じているからです。

ビジネス書には何が書かれているか?

ビジネス書には、答えのない再現性のある問題に対して、筆者の経験を踏まえた一つの回答が示されています。

本は、あれだけの紙面を割いて説明する以上、そこで取り上げられる課題には明確でシンプルな解答などないということが暗に示されています。 つまり、比較的長期的に向き合って解決していかなければならない課題の解決方法が書かれています。

一方、ITサービスはどうでしょうか?どんなITサービスにお金が支払われるでしょうか? 長期的な課題に向き合うサービスはなかなか導入されません。企業には長期的に解決していかなければならない課題よりも優先すべき課題が山ほどあり、体感として長期的な課題は、一度クリアしたら再現しなくなるものが多いです。 また、長期的な課題に対して、最優先で向き合える状態になった企業は十分に成長しており、そのようなマーケットを選んだ場合最初からエンプラで展開しなくてはならず、難易度が高いです。 長期的課題は解き方も企業ごとに異なるので、ベストプラクティスというものが存在しません。

一方で、短期的な課題は、難易度という観点で言うとそう高くはなく、 時間はかかって明らかに非効率だけど、そもそも課題だと認識されていないことも多くあります。 そういうものをITサービスで解決すべきなのです。

ビジネス書からサービスアイデアを発想する方法

そんなふうに考える中で、ビジネス書を使った事業アイデアの産み方を思いつきました。

そのビジネス書が不要になるサービスを考える

「そのビジネス書がテーマにしている課題がそもそも発生しないようなサービスを考える」です。 ちょっと例としては悪いですが、Slackが存在する今「リアルタイムに情報を伝える方法」みたいなビジネス書は現れません。(Slackの解説書とかはあるかもしれませんが) テクノロジーの進歩によって、そのビジネス書の存在をそもそも不要にすることができるのではないか?と考えてみると何かアイデアが生まれるかもしれません。

toBの長期的課題は、カルチャーや社内規則、人材育成など、経営者の意思決定によって解決することが多い気がしますが、 そもそもそういう問題が生じない状態を今のテクノロジーを使って実現できないでしょうか?

僕が最近読んだ本でいえば、「デジタルマーケティングの定石」や「リーダーの作法」、「PMFの教科書」など色々あるのですが、 このどれもが、突飛なアイデアによってそもそも不要になる世界線を考えることは無理ではない気がしています。

toC向けサービスだったら、キャリア設計の本であったり、資産形成の本であったりは考えられそうですね。

このような感じで、本自体は課題に対するソリューションを、たくさんの誌面を割いて提案するものです。 その本が存在する以上、課題は存在しています。しかし、今その課題は現段階で長期的にしか解けないものになっているということです。 そしてそもそも長期的課題が発生しないという状態は、長期的課題をより簡単な短期的課題にすり替えた結果、長期的課題に向き合う必要をなくしているということになります。 こうなると再現性が生まれるのでITでとくべき課題になり得ますよね。

例えばTinderなんかは、自分がいい人になる代わりに、圧倒的な出会いを提供することで、相性の良い人を探す手伝いをしてくれています。 これは課題の読替えですよね。

こういった理由で、最初にお伝えした、「一冊のビジネス書をSaaS化する」というアイデアですが、 このままでは筋が悪いので「一冊のビジネス書を不要にするSaaS」と少し変えると、それは再現性のある短期課題に変わる可能性があるのでは?と思っています。

この観点を持って、本棚の前に立ってみてください。 そしてこう問うてみてください「自分なんでこの本買ったんだっけ?」

いいアイデアが浮かぶかも。 是非是非お試しください〜〜